こんにちは。
宇都宮市保健センターで行われました健康講座に行きまして、講師としてお話しをさせていただきました。
講座内容は、「知らないとコワイ歯周病と全身疾患の深い関係」というタイトルでした。
参加者の平均年齢は71歳で、約20名の方が私の話に耳を傾けてくださいました。講座の具体的な内容から今回はその第1回目として、「健康寿命を伸ばすためには」と題してお話しさせていただきます。
この画像は1970年代に手塚治虫氏が描いた「男の一生、女の一生」というマンガです。
ここで注目していただきたいのはこの当時の女性は、25歳で結婚していないとオールドミスと言われていたのですね。50歳で老眼でものが見えなく、55歳で歩くのに杖を使い、60歳で歯が抜け落ちて「フガフガ」といった時代だったのですね。
漫画「サザエさん」に出てくる波平さんの年齢設定は54歳だそうです。
では、この頃の1970年の日本人の平均寿命と現在の平均寿命と比較してみましょう。
現在の日本人の平均寿命は男性は81.47歳、女性は87.57歳です。だいぶ平均寿命が延びてきたことが分かります。
ところが健康寿命といって健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる年齢と平均寿命を比較してみましょう。
日本人の健康寿命は男性は72.7歳、女性は75.4歳となっています。このことから男性は8年間、女性は12年間もの間不健康な状態で寿命を迎えることになります。
ですから、寝たきりの状態で何年もベッドの上で生活して、周りの方々のお世話(介護など)になっているのも考えものです。
そこで、若い時のようになんでも自分で行動、生活できる、健康寿命を伸ばすことがとても大切なことです。
ではその健康寿命を伸ばすためにはどうすれば良いのでしょうか?
これは実は裏を返して考えてみましょう。
健康寿命を短くしてしまう要因はフレイルになってしまうことです。
フレイルとは英語で虚弱を意味していて、健康と要介護の間の状態です。
さらにはこのフレイルは3つに分かれます。
①社会的フレイル
②身体的フレイル
③精神的フレイル
フレイルは加齢により生じる身体の変化だけでなく、うつ(鬱)や認知機能の低下などの「精神的な面」、家に閉じこもるなどの「社会的な面」など、さまざまな要因が重なって引き起こされると言われています。ここで注意していただきたいのが、健康→フレイル→要介護になってしまいますが、逆に生活習慣などを改善すると要介護→フレイル→健康にもなるということです。いわゆる可逆的な改善か可能となってきます。ですからフレイルになってもあきらめずに健康を取り戻すよう努力してみましょう。
健康を取り戻すためにはよく栄養を摂ることが最重要になるのではないのでしょうか。
またこのようなデータがあります。
よってむし歯がなく歯周病にもなっていない(あるいは歯科医院にて治療済み)人ほどフレイルにもなりにくく、健康寿命か伸びる傾向にあるのです。
ところで歯を失う原因はなんででしょうか?
上の図でもわかるように歯を失う原因の1位は歯周病です。
ですから普段からよく歯を磨き、お口を清潔に保ち「歯周病」「むし歯」にならないようなケアが大切なのです。そして歯科医院での健診を受けることが重要となります。ご自身でやっていただくセルフケアと健診時に歯科医院でやるプロケアと両方大切になります。
宇都宮市では8020運動の一環として、80歳で20本以上の歯が残っている健康な方を毎年表彰しております。(今年も6月に歯とお口の健康週間)
毎年私の歯科医院から8020達成者を推薦しておりますが、そのような歯の健康な方を見ていると共通点として、毎日よく歩き(散歩など)活動的であり、姿勢がとても良く、更には表情も明るくイキイキとしていて、認知機能がとても高く、はっきりとした発音で会話できるのです。
そして歯科医院での健診も欠かしません。これで歯が健康であれば健康寿命が延びて、充実した生活が楽しめることはご理解いただけたかと思います。
第1回目の私のお話しはこれで終わりとします。
第2回目は「歯周病と糖尿病との関係」についてアップしたいと思いますのでよろしくお願い致します。